12月20日 (火)  「たかやん議員日記」2005.第350弾! 

「たかやん議員日記」2005.第350弾!  12月20日(火)

神宮司チョップ
五中の職員室にはおばさんの用務員さんがいた。もの凄いデブで、髪の毛はボサボサだった。最初の学年会議へ行くと、その用務員のおばさんがいた。(何で用務員のおばさんがいるの?)と思っていたら、その人が僕らの学年主任になってしまった。そのおばさんこそ、我らの神さん、神宮司先生だった。
神さんには必殺技があった。「神宮司チョップ」である。僕も何度かくらったことがあるが、ばあさんの空手チョップなど痛い訳がない・・・。だけど、みんな不思議と「神宮司チョップ」を恐れていた。
ちょうど12月のある日の夜。職員室には僕と神さんだけが残っていた。(勿論用務員の佐倉田さんは用務員室にいたが・・・)もう8時半を過ぎていたので、「神さん、何やってるんですかこんなに遅くまで・・・」と言うと、神さんは「あたしゃ、学校が好きなんだよ。家に帰ったって、一人だからねえ。」そう言った。神さんはその時、3年5組の担任をしていた。僕は3年4組の担任。僕は初めての3年生で(当たり前)プレッシャーがあったのだろうし、神さんは神さんで、担任と学年主任という両方のプレッシャーがあったのだと思う。僕らは調査書を書いていたのだ。

ソックス
昔の職員会議は今のように、校長の原案だけに賛成するような雰囲気は全く無かったから、「校則」を決めるときなどは大変な騒ぎだった。僕はだまっているしかなかったのだが・・・“靴下は白いソックスを三つ折りのこと。”と決まりそうになったときに、僕は初めて会議で発言した。「なんでソックスを三つ折りにしなきゃあいけないんですか?」すると神さんが立ってこう言ったのだ。「三つ折りの靴下のことをソックスと言うんです!」それはまるで小泉純一郎が自衛隊に行くところは、戦闘区域ではありません。自衛隊が行くのだから・・・そう言っているのに似ていた。僕は笑いそうになったが、何故か納得してしまった。
僕のクラスの4組の子達はよく職員室で正座させられていた。それは靴下を三つ折りにしていなかったからだ。僕は最初の年から、そういうことに無頓着だった。子ども達には「神さんに見つかったら、黙って怒られておけ。」と言っていた。子ども達は担任の言葉通り、神さんに見つかると神妙な顔をして怒られていた。神宮司チョップを体罰だと騒ぐ親はいなかったし、生徒もばあさん相手にやられたふりをしていた。子ども達は知っていたのだ。神さんが子ども達のことを本気で思っていることを・・・・。だから180センチ以上ある3年生も神さんには弱かったのだ。僕はこの人から、子どもを愛すれば、子どもから愛されることを学んだ。厳しくしても、心の中が暖かかったら、子どもにはその暖かさが伝わることを学んだのだ。
神さんはピアノが本当に下手だった。まるで打楽器のようにピアノを弾いた。だけど、神さんの校歌は凄かった。神さんのハレルヤは凄かった。あの全校生徒の歌声は多分、日本一だったんじゃあないかと思う。体育館も校庭も揺れていたから・・・・神さんにはそういう不思議な力があった。子ども達の集団を惹きつけることの大切さも、僕はこの人から学んだ。
一度ふざけて神さんのズボンを穿いたことがある。僕と同期の誠と二人一緒に穿けたのだから笑ってしまった。あの頃の五中の職員室は笑顔が溢れていた。僕はそこで素敵な仲間達と出会うことができた。