10月1日 (日)  「たかやん議員日記」2006.第274弾!  10月1日(日)

「たかやん議員日記」2006.第274弾!  10月1日(日)

0時13分
昨夜、(実際には今日)6年前に陵平が息を引き取った時間。僕は10階から下を見た。足が竦みそうな高さだ。吸い込まれていきそうで、長くは見ていられなかった。綺麗に書かれた反省文とは全く違う、震える手で書いた「遺書」を思い出した。陵平はパニックになったのだ。“優等生”の自分が、学年集会で決意表明をする姿を想像して・・・13歳の小さな胸が、恐怖で一杯になっただろう・・・6年前と同じ光景がそこにはあった。

陵平味噌
昨日も、今日もいくこさんの作った豚汁が大好評だった。弥生さんは玄米ご飯に豆腐カレーを作ってくれた。これも完売?大勢のお客さんで厨房はてんやわんや。たくやのお母さんや渉のお母さん、そして陵平の幼なじみのえりちゃんが何時間も立ちっぱなしだった。

「これおしいい!」キュウリや人参に陵平味噌を付けて食べるひとみと梢。智史、達也、和也は豚汁をあっという間に食べてしまった。もう一人の達也が「これ・・」と言って日本酒を差し出した。野球部の仲間たちからの差し入れだという。陵平のお兄ちゃんの走太の乾杯の音頭で、僕らはその純米酒で乾杯をした。厨房のお姉さん達も、2年5組の緑やゆき子もみんなで飲んだ。

建築家を目指している純、保育の世界で頑張るあさみ。彼女の話に照れる貴幸、陵平の傍にいつもいた喬之。陵平には本当にいい仲間がいたのだ。「これから遊びに行こうよ」とあさみを誘い「ごめん!明日学校なんだ」と軽くいなされ、「いいさ、男だけで行こうな!」と笑う勇人。いつの間にか横になって、眠ってしまった貴宏。朋之、瞬、遼太、悟とは余り話せなかったけど、みんな「また来ます!」と握手をしていってくれた。

一番最初に帰った俊介も「今度また花持ってきます。」「必ずきますから」と頭を下げて行った。僕は23人の子供たちと会った。2年5組の子達もいれば、野球部だった子達もいた。小学校からの友達もいれば、同じマンションの仲間もいた。お菓子を陵平にあげた子もいれば、一緒になって怒られた子達もいた。5組でそれを見ていた子達もいた・・・・
みんなに共通していたのは、あの当時の手紙に書いてあるように「ヌッキーのことを忘れないよ」「大貫のこと絶対、絶対忘れない」と今でも陵平のことを思っていてくれること。

野球部が全員揃って、陵平も写真でメンバーに入って、記念撮影をした。「何だかおっさんの中に小学生だな・・」とカメラマンの僕。二十歳の青年達と少年のままの陵平がそこには笑っていた。
 
お菓子をあげなければ・・・一緒に食べなければ・・・・今でもお菓子を引きずる子ども達。「そんなことで陵平は死んだんじゃあないよ。!」「お菓子を断れなかったことで、誰も死んだりするもんか。」と僕は言った。

「ルールを破った方が悪い」「学校の規則を破ったのだから、先生方のやったことは間違っていない」子どもの命がなくなっても、平気でそういう言葉がでてくる世界で、彼らは1年半も生きていた。そして今でもそのことを引きずっていることが悲しかった。

「友達だもの・・・お菓子をあげるさ」「友達だもの・・・お菓子をもらうさ」「先生に隠れてお菓子を食べる・・・中学生ならみんなやるよ。」「先生達だって、職員室で飲んだり、食べたりしているんだ。君たちはなーんにも悪くなかったのさ」僕は彼らにそう言いたかった。

最後まで残ったのは、智史と和也。そして陵平の幼なじみのえり。3人と握手をして再会を約束した。もう0時をはるかに回っていた。えりと走太とは一緒に栃木へ行く約束をした。来年の陵平味噌の大豆のできはどうだろう・・・

雨の中を僕は歩いて帰ってきた。彼らと出会えたことに感謝しながら、僕は陵平のことをそして隆志さんと政江さんのことを思った。        たかやん