7月26日 (火)  『一生懸命』幻のたかやん日記  第206弾!  2011.7.26(火)   たかやん

『一生懸命』幻のたかやん日記  第206弾!  2011.7.26(火)   たかやん

教師を目指す人へのメッセージ14 道徳
僕は道徳の授業が好きだった。宗教、哲学、心理学の本を読みまくり、感動したことを子供達に話すのが好きだった。職員室の片隅にある「道徳の本」を使って授業をしたことは一度もない。やはり自分で消化したものでないと、人に伝えるのは難しいものなのだ。
教員になったばかりの頃は、「道徳」の時間を持て余していた。何をしたらいいか分からず、「席替え」の時間に使ったり、「体育祭」や「合唱コンクール」の練習に使ったり…。だから子供達も道徳の時間は息抜きの時間くらいにしか考えていなかったと思う。

道徳というのは「人の生き方」を教える時間だと思っている。人生は楽しいだけではない。苦しい時もたくさんある。その苦しい時にどう考えて生きていけばいいのか…その答えが道徳の中にあると思う。僕は学校の道徳の教科書は使ったことがないが、自分だけの道徳の教科書はたくさん使った。ある時は死んだ父の「詩集」がそうだったし、ある時は星野富広の「絵と詩」がそうだった。自分の心が動かない教科書で子どもを教育することなど不可能なのだ。自分が感動して、涙が出たものが本物の教科書なのだと思う。

涙と言えば、授業で子供達が泣いた時、僕は物凄いショックを覚えた。勿論理科の授業ではない。国語の授業を受け持った時の話だ。僕の副担任の国語の先生が切迫流産で数週間学校を休んだことがあった。その時に代わりに「国語」の授業をやったのだ。丁度「詩」の授業だった。僕は父の詩集を教材にした。そして僕自身の書いた詩も…。その授業で子供達が泣いたのだ。授業で子供達が泣く…僕には想像できないことだった。理科の実験で子供達がどんなに感動しても、涙を流す子はいない。それが国語の授業ではたくさんいたのだ。

もう一つの涙は「歌」である。僕はギターを弾くのが好きで子供達の前でよく歌を歌った。子供達も一緒に歌った。毎日のように歌った。その歌をクラス解散の時に歌うのである。卒業式の時もあれば、終業式の時もある。たくさん歌った歌であればあるほど、子供達は涙を流す。歌で記憶が蘇るのだ。勿論、結婚式でもそうだ。中学を卒業してから10年以上過ぎていても、心がその歌を覚えているのだ。それに比べて理科の授業を覚えている子の少ないこと。僕の授業は「詩」や「歌」に完全に負けていたのだ。

そして最後の涙は「言葉」だ。言葉の力を侮ってはいけない。良い言葉は子供達に力をつけるが、悪い言葉は子供達から自信と可能性を奪っていく。子供達は大人の言葉で自信を深め、大人の言葉で傷ついていく。プロの教師は自分の言葉に責任を持たなくてはいけない。ヤクザのような言葉を使う教師をたくさん見てきたが、学校にはヤクザはいらない。子どもの可能性を奪い、傷つけるだけなら教師をしている意味がない。言葉の力は強い。良い意味でも悪い意味でも強い。プロの教師はそのことを肝に銘じていなければいけない。貴方の言葉で人一人の人生が決まってしまうことがあるのだから…。
本を読もう。子供たちに「良い言葉」という栄養を与えるために本を読もう。そして自分自身も元気になろう。「良い言葉」は大人でさえ元気にする力を持っている。どんどん本を読んで、その言葉を探そう。「本を読みなさい!」と言っても子供たちは本を読むようにはならない。本を読む楽しさを教えれば、子供たちは本を読み始めるのだ。

秋田からのメール
日記を読んで、つい… マーシャル先生 懐かしいです…
"マーシャルアーツからのあだ名"だったのですか!?給食のピーナッツバターの包装袋の子供の絵に似てる(たしかマーシャルビーンズという名前でした)からマーシャルと呼ばれていたのだと思っていました あの体格は凄かったですよね!何故ギタークラブ担当だったのでしょうね お兄ちゃんみたいな先生でした… オードリーの春日みたいに胸を張って歩く先生でした… 話し掛けると『なんだい?』と笑顔で聞いてくれる先生でした…
男子が喧嘩を吹っ掛けようとすると、手の指をポキポキと鳴らして『いつでもかかって来い』な先生でした… やっぱり素敵な先生でした…会いたいなぁ たかやんの怪我の場所
ビックリ!首と股関節! やっぱりだ!自分で驚いてます 。先生って体を張っているのですね… 私は"先生達は大人で、傷付いたり、悩んだり、落ち込んだりなんてしないんだ"と思っていました。

一年生の時の担任、K先生に私は酷いイジメをしました。毎日毎日…イジメをしました…。何故あんな事をしてしまったのか… 今想像すると自分が恐ろしいです。K先生は教室に入るのが辛かったはずです… それなのに卒業式の日に私を待っていてくれて「平川、卒業おめでとう!」って言って下さいました… 私はその言葉を聞いた瞬間に「先生、ごめんなさい!」と言って大泣きし、K先生にしがみついて謝りました。K先生も泣いていました。

『教師を目指す人へのメッセージ』も感動しながら読んでいます。
教師を目指していない人にも、是非じっくりと読んで頂けるといいなぁ…と思っています。 また長々とすみません たかやん日記が楽しみな 実佳でした  おやすみなさい

みかちゃんへ
毎日、日記を読んでくれてありがとう!マーシャルもK先生もいい先生でした。もう少し仲良くしたいなあ・・・と、思っていたら転勤されて、残念だった記憶があります。マーシャルは確かにオードリーの春日に似ていましたね。足が頭の上まで上がって、“踵おとし”ができる春日ですが・・・。彼は強かったから、僕のように怪我はしなかったでしょうねえ。K先生のお家に一度遊びに行った記憶があります・・・直ぐ顔が真っ赤になる、可愛い先生でしたよね。隣のクラスが1組で、やりにくかったんじゃあないかなあ・・・。“教師を目指す人へのメッセージ”は自分で書いたものですが、面白いので日記に連載しています。自分がどんな教師だったのかを思い出して・・・ちょっと恥ずかしいです・・・独りで悩んでいる先生(誰でもいいけれど)や先生を目指す人の役に立てたら嬉しいです。
                                たかやん
許す心
韓国ドラマを見ていたら・・・「お前はずっと憎しみや怒りや悲しみを持ち続けて生きていく積りか!」と主人公が諭されるシーンがあった。「お前はいい生き方をしてこなかったな」とも言われるのである。僕は毎日、基本的に幸せに生きてきたが・・・どうしても忘れられない怒りもあるのである。自分がされた仕打ちに対する怒りはもう殆ど忘れているのだが・・・子ども達がされた仕打ちに対する怒りは・・・忘れてはいけないとも思っているのだ。正解はどっちなのだろう・・。怒りを忘れていいのか、忘れてはいけないのか・・・。許す心か・・・うーむ。まだまだ人間ができてないなあ・・・。

今日の写真1
台風の日の東門です。この夏休みに僕と純一が立っているこの場所が削られて・・・道路が拡幅されます。去年から訴えていたことが実現するのです。でも、道路が広がっても車は今まで通り走る訳で・・・2学期も気を抜かないで、純一と順子と3人で見守りを続けたい。そう思っています。

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