劣等生 神さんは英語教室に言っていた。学校をやめてから、それだけが楽しみだったらしい。ノートを見せてもらった。何とABCからはじまっていた。「スペルって何ですか?」と質問して笑われたらしい。よく間違えて笑われるんだそうだ。でも、そのお陰で他の生徒達は伸び伸びと発音しているとも言っていた。 「あたしゃ劣等生なんだよ。」と神さん。「でも、あたしなら 出来ない子に教えられるかもよ。」『そうですね。』と俺。 「“Nice to meet you again!”あなたに会ったら、そういうつもりでずっと練習していたのに、会った途端に忘れちまったよ。」『ふふふふふ。』ABCではじまっている、そのノートには丁寧な神さんのEnglishがびっしり詰まっていた。「楽しくて、楽しくてしょうがないんだよ。」という神さん。富山で一人で暮らしている母さんをふと思い出した俺であった。 ともや